ぬい活とは?推し活で注目される理由と楽しみ方を紹介

この記事のまとめ

ぬい活はぬいぐるみを推し活やファッションの一部として楽しむ活動で、市場拡大とSNSでの発信を背景に広がっています。イベント主催者や企画担当者が体験設計を考えるうえで、楽しみ方の細分化と心理的価値を押さえることが判断の起点となります。

  • ぬい活は推しぬい、キャラぬい、名前のないぬいの3種類があり、持ち歩きや写真撮影が中心の楽しみ方です。
  • 国内ぬいぐるみ市場は約450億円規模まで拡大し、Z世代女性では8割以上に経験があります。
  • バッグ装着、ぬい撮り、おでかけ、ふり向き界隈など楽しみ方は多層化し、SNS発信と結びついています。
  • お守り感覚や人格化といった心理的価値が土台となり、貸切撮影や宿泊、POP UPなどの体験が広がっています。


ぬい活の定義と推し活における位置づけ

ぬい活は推し活の一形態で、対象となるぬいの種類と、持ち歩きを前提とした楽しみ方に特徴があります。


ぬい活の意味と3種類のぬい

ぬい活はぬいぐるみを推し活やファッションの一部として楽しむ活動を指す言葉です。

「ぬい活」はぬいぐるみ活動の略です。SHIBUYA109 lab.がぬい活の経験について尋ねた調査では、Z世代女性の8割以上に経験があるという結果が出ました(参照*1)。

ぬいの種類は大きく3つに分けられます。1つ目は実在の推しをかたどった推しぬい、2つ目はキャラクターをかたどったキャラぬい、3つ目は雑貨店やアパレル店、ガチャガチャなどで売られる名前のないぬいです(参照*2)。

この3分類は、企画側が対象商品を組み立てるときの起点となります。推しぬいは特定作品やアーティストの世界観、キャラぬいは版権の枠組み、名前のないぬいは自由な感情移入という違いを踏まえ、体験や物販の設計を整理できます。


推し活・ドール活・フィギュア活との違い

ぬい活は推し活の一形態ですが、素材と持ち運びの点で他の活動と異なる特徴を持ちます。

アクリルスタンドやフィギュアと比べたぬい活の魅力は、ふわふわとした存在感にあります。ぬいには個体差があり、触感や表情に感情移入しやすく、推しと一緒にいる感覚を実感しやすい点が支持されています(参照*3)。

布製のやわらかいぬいぐるみを対象とし、持ち運んで一緒に日常を過ごすことに重点を置く点がぬい活の特徴です(参照*4)。

この違いは、会場設計や物販選定の判断に直結します。硬質の推しグッズと異なり、ぬいは日常への同伴が前提となるため、持ち歩き前提のサイズ感やバッグ装着可否が企画側の検討事項に加わります。


ぬい活が注目される背景と市場拡大

国内ぬいぐるみ市場は2年連続で二桁成長を続け、担い手もZ世代から30代以上まで広がっています。


450億円市場と流行語ノミネート

ぬい活の広がりは、市場規模の数字と流行語の動きの両方に表れています。

一般社団法人日本玩具協会によると、2023年度の国内ぬいぐるみ市場規模は約390億円、前年比120.7%の成長でした。成長の背景として、ぬいぐるみを持ち歩いて写真を撮るぬい撮りや、お気に入りのぬいぐるみに衣装を着せるといった楽しみ方の多様化があります(参照*5)。

続く2024年度は約450億円、前年比115.3%となり、2年連続で前年比115%を超える伸びが続いています。2025年11月には、ぬい活が新語・流行語大賞にノミネートされました(参照*6)。

この数字は、企画担当者が予算と規模を判断する際の目安になります。単発の流行ではなく2年連続で二桁成長が続く土台があるため、中期的な企画投資の判断材料として扱いやすい状況です。


Z世代と30代以上の二層構造

ぬい活の担い手はZ世代だけでなく、30代以上にも広がっています。

SHIBUYA109 lab.が15〜24歳の女性約500名を対象に行った調査では、8割以上がぬい活の経験を持ち、多くのZ世代がぬいぐるみを持ち歩く、バッグに付ける、一緒に写真を撮るといった遊び方を楽しむ実態が明らかになりました(参照*7)。

一方、推し活全体では、推しがいる人の58.9%が直近3年で新しいことに挑戦しており、これは推しがいない層の約2.2倍にあたります。ファンの熱量が具現化した応援広告のポテンシャル市場は1,283億円規模まで拡大しています(参照*8)。

数値からは、Z世代の日常行動としてのぬい活と、推し活全体の行動変容が重なっている構図が読み取れます。企画側は年代別の動線と共通の熱量を分けて整理することで、対象層に合わせた告知や体験設計を組みやすくなります。


ぬい活の楽しみ方の細分化

ぬい活の楽しみ方は、持ち歩きと撮影を入り口に、着せ替えや旅、SNS上の表現文化へと多層化しています。


バッグ装着・持ち歩き・ぬい撮り

ぬい活の入り口となる楽しみ方は、身につけて連れ出し、写真に収める行動です。

経験者が最も多かった楽しみ方はバッグにつけるで59.4%、次いで日常的に持ち歩いたり、お出かけしたりするが39.4%、モノや景色と一緒に写真撮影するが37.9%という結果でした(参照*1)。

SNSでは#ぬい活や#ぬい撮りといったタグで写真が共有され、見た人同士が自然と共感し合う流れが生まれており、2025年6月時点で#ぬい撮りタグの投稿は413万件に達しています(参照*9)。

この3つは、いずれも会場外へ持ち出せる行動である点が共通しています。イベント主催者にとっては、来場者が会場の風景をSNSに載せる導線を意識することが、写真映えする会場設計と結びついてきます。


着せ替え・お泊り・ぬい旅

ぬいぐるみに衣装を着せる、旅先に連れて行くといった楽しみ方は、日常の延長として広がっています。

ぬいぐるみに衣装を着せる着せ替えは、市場成長の背景に挙げられている代表的な楽しみ方のひとつです(参照*5)。

VTuberイベントのにじさんじフェス2025の現地取材では、多くの人が推しぬいを持参し、ライバーの等身大パネルやポスター、落書きと一緒に写真を撮って楽しむ姿が見られました。「ぬい」を被写体の一部として、会場内のあちらこちらで撮影を楽しむ人が多かったことも印象的だったと報告されています(参照*10)。

着せ替えや旅同伴は、その日1日で完結せず、準備の段階から楽しみが始まる点が特徴です。企画側は会場での撮影だけでなく、事前準備を含む時間軸で来場者体験を捉える視点が判断の助けになります。


SNS投稿とふり向き界隈

ぬい活はSNS上の新しい表現文化とも結びついています。

SNS上では、ふり向き界隈と呼ばれる文化も広がっています。おでかけ先でぬいぐるみを振り向かせる動画を撮影し、自分の顔は映さずぬいぐるみだけをカメラに向ける表現が支持されています(参照*6)。

自分の顔を出さずにぬいだけを主役にする表現は、参加のハードルを下げています。主催者側は、投稿者の顔を映さずに済むフォトスポットや動画向きの動線を用意することで、投稿されやすい会場に近づけられます。


ファンがぬい活に求める心理的価値

ぬい活の土台には、お守り感覚や癒しといった心理面の価値と、穏やかな共感のつながりがあります。


お守り・癒し・人格化

ぬい活の背景には、ぬいぐるみを心の支えとして受け止める感覚があります。

SHIBUYA109 lab.の調査では、70.3%がぬいぐるみを持つことをお守りを持っているような感覚と回答し、33.6%がぬいを人のように扱っていると答えました。BANDAI SPIRITSの調査では、ぬいぐるみがもたらす効果について聞いたところ、最も多かった回答は心を癒してくれるで66.4%でした(参照*6)。

推し活全体でも、精神面の変化が数字に表れています。タニタの調査では、推し活がもたらす精神的な変化について尋ねたところ、77.5%が生きることが楽しくなったと回答し、次いで推しを見ると気分の落ち込みが軽くなるようになったが75.7%、日常生活が充実するようになったが73.3%と続きました(参照*11)。

お守り、癒し、人格化という3つの受け止め方は、来場者が会場でぬいをどう扱いたいかを左右します。企画側は物として扱わない前提で導線を設計することが、参加者の心理的な満足度と関わってきます。


クワイエットアゲとコミュニケーション起点

ぬい活は個人の癒しにとどまらず、周囲との関わり方を穏やかに整える役割も担っています。

SHIBUYA109 lab.は、お守り感覚や人格化に関する調査結果について、周囲と調和しながら自分のテンションを上げるスタイルであるクワイエットアゲとの親和性が高いと分析しました(参照*7)。

ぬいを介した写真の共有は、見た人同士の共感を生むコミュニケーションの起点にもなっています(参照*9)。

静かに気分を上げる行動と、共感の広がりが同じぬい活の中に共存している点が特徴です。企画担当者は、大きく盛り上げる演出と、静かに楽しむ人が共存できる場の作り分けを検討する余地があります。


イベント・企画に活かすぬい活体験設計

貸切撮影や宿泊、街歩き、グッズ企画など、ぬい活を軸にした体験設計の事例が各地で生まれています。


貸切フォトスポットと没入体験の事例

貸切と没入は、ぬい活体験の満足度を高める柱となっています。

京阪グループのひらかたパークでは、ぬい活に特化した撮影イベントのぬい撮りオフ会 in ひらかたパークが2026年5月に開催されました。閉園後のパーク内で、2025年10月にオープンした新エリアプラネットアクア・ポートを貸し切り、幻想的な空間を舞台にぬいぐるみやアクリルスタンドなどとの撮影を楽しめる企画です。前回参加者に実施したアンケートでは、回答者全員が楽しかったと回答しました。会場内では、積極的に交流したい、撮影に専念したいといった参加者のスタンスを、カラーバンドの色によって一目で判別できる仕組みが導入されました(参照*12)。

この事例からは、貸切という空間の独占と、参加者のスタンスを可視化する仕組みが同時に効いていることが読み取れます。主催者は撮影に集中したい層と交流したい層を切り分ける導線を設けることで、満足度を落とさずに参加者を混在させる判断がしやすくなります。


宿泊・街歩き・POP UPでの体験拡張

ぬい活体験は施設内にとどまらず、宿泊や街歩き、POP UP企画へと広がっています。

神奈川県・湯河原の温泉旅館The Ryokan Tokyo YUGAWARAでは、ぬい活を楽しむ人向けの宿泊プランぬい活パックを展開し、ぬい専用のお布団や撮影用背景ボード、ぬい服づくりができる専用ミシンのレンタルなど、旅先でも推しと過ごせる体験を用意しています(参照*9)。

川越の街歩き企画#ぬいと川越れとろでは、おたのしみ券やごはん券が使える一部店舗にぬい撮り専用のフォトブースが設置されました。レトロな店内や風景を背景にぬいぐるみとの思い出写真を撮れるフォトブースは2パターン・全4カ所で、対象店舗での飲食やサービス利用に応じて撮影できる仕組みでした(参照*5)。

宿泊と街歩きは、いずれも来場者の滞在時間を大きく伸ばす方向に働きます。企画担当者は、単発の会場に閉じずに周辺施設と組み合わせる設計を検討することで、体験の厚みを増やす選択肢を持てます。


グッズ企画の判断材料

ぬい活グッズは、持ち歩き前提と写真映えを軸にした設計が広がっています。

推し活グッズEXPO 2025 春では、近年トレンドとなっているぬい活に注目し、推しのぬいぐるみと一緒に楽しめるアイテムを展示しました。外出先での撮影に便利なアクセサリーや、着せ替えを楽しめる洋服、ぬいぐるみをより愛らしく演出するグッズなど、多様なシーンで活用できるアイテムが提案されました(参照*13)。

東洋ルースは、日頃から寄せられる推しとお揃いのアクセサリーがほしい、ぬい撮りで映える小物が欲しいといった声を受け、ぬい活とジュエリーを融合させた商品を開発しました。同じ宝石を使ったペア仕様で、SNSの写真映えはもちろん、推しと一緒に出かけている実感を高める設計としています(参照*14)。

2つの事例に共通するのは、撮影と携行を前提とした商品設計です。単体グッズではなく撮影シーンとセットで訴求する切り口が、企画担当者の判断材料になります。


ぬい活で押さえるべきマナーと注意点

ぬい活が広がる一方で、飲食店や公共の場でのマナー面の課題も指摘されています。

デイリー新潮の取材では、京都の小料理屋の店主が、若い女性2人組がいきなりカバンからぬいぐるみを取り出して料理と一緒に写真を撮り始め、テーブルの上に並べだしたと語っています。こうしたトラブルが積み重なった結果、ぬいぐるみやドールの持ち込み禁止を掲げる飲食店や観光施設が出始めています(参照*6)。

守りたいマナーの例として、撮影禁止場所でのぬい撮りはしない、フォーマルな場やTPOをわきまえない場でのぬい活は避けるといった点が挙げられています。飲食店のテーブルや食器に直接ぬいを置かない、生えている草花や木の上にぬいを置かない、他人の顔の映り込みをそのままアップロードしないことも含まれます(参照*3)。

また、飲食店やカフェではテーブルに置く場合に衛生面へ配慮し食べ物と直接触れないようにすることや、公共交通機関では他の乗客の迷惑にならないようバッグに入れるなど工夫することもマナーとして整理されています(参照*15)。

イベント主催者は、こうしたマナー面の論点を来場前の案内や会場サインへ反映する余地があります。参加者が安心して楽しめる場を保つことは、企画の持続性にもつながる判断材料となります。


おわりに

ぬい活は、推し活の中でも布のぬいぐるみを持ち歩き、写真や旅、宿泊、SNS投稿へと楽しみ方が広がる活動として定着しつつあります。市場は2年連続で二桁成長し、Z世代女性では経験者が8割を超え、お守り感覚や人格化といった心理的価値が土台となっています。

イベント主催者や企画担当者にとっては、貸切フォトスポットや宿泊、街歩き、POP UPといった現場の事例が、ファン体験とグッズ企画の判断材料になります。楽しみ方の細分化とマナー面の論点を並べて捉えることで、参加者と長く付き合える企画設計に近づけます。


参照

(*1) プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES – Z世代の「ぬい活」に関する実態調査

(*2) 株式会社SHIBUYA109エンタテイメント – Making You SHINE! 新しい世代の“今”を輝かせ、夢や願いを叶える – Z世代のぬい活に関する実態調査

(*3) ワタシト by ユアマイスター – 【ぬい活とは】推し活の新常識!魅力や楽しみ方から初心者マナー&撮影のコツまで|ワタシト

(*4) 推し活をもっと充実させる!推し活グッズ、イベント最新情報応援メディア – 最新推し活応援グッズ、推し活イベントの情報収集に毎週配信中! – ぬい活とは?|かわいいぬいぐるみと過ごす新しいライフスタイルを完全解説

(*5) プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES – “ぬい活”で街歩きを楽しむ「#ぬいと川越れとろ」キャンペーンが9月5日(金)より開始!数量限定ぬい撮りアイテムもプレゼント

(*6) 株式会社NOKID – 「ぬい活=Z世代のブーム」は間違い。450億円市場の本当の主役は30代以上の大人だった

(*7) にじめん – 「SHIBUYA109 lab.」が“Z世代のぬい活に関する実態調査”を公開!“ぬい活”経験者が8割を占める結果に

(*8) 2025年度 ニュースリリース

(*9) Retail Voice(リテールボイス) – マーケッターに「!」を​ – ぬい活にハマるZ世代~広がる推しとの日常体験

(*10) MoguLive – VTuberイベントは推しの「ぬい撮り」を楽しむのがスタンダードになりつつある? “写真”を軸にしたイベントの在り方

(*11) タニタ – 推し活に関する意識・実態調査2026を実施|プレスリリース

(*12) https://www.keihan.co.jp/corporate/info/release/assets/260430_hirakata-park.pdf

(*13) 推し活の最前線がここに!「推し活グッズEXPO 2025 春」出展レポート

(*14) プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES – 推しとお揃いで、きらめくぬい活を。

(*15) COBBEREC – ぬい活って何?推し活・癒し・コミュニケーションまで広がるぬいぐるみの新しい楽しみ方